Practice

Zero-Spend で SaaS 会社を作る — ¥0 で LLM 呼出しまで完成する構成

XIORA INSIGHT xiora-official.com Zero-Spend で SaaS 会社を作 る — ¥0 で LLM 呼出しまで完成する 構成 Xiora — AI-native software, engineered for business.

Ollama L1_LOCAL + xioraai-orchestrator の実構成で、追加課金ゼロで agent が LLM 呼出しまで到達する道筋。

KR
沓澤 怜士 (Kutsuzawa Reo)
Xiora 代表 · info@xiora-official.com

Introduction

Xiora には「収益化まで追加課金ゼロ」というポリシーがあります。ユーザーメモリーでは spend_policy_zero_until_revenue.md として明文化されており、私 (Reo) はこれを 6 ヶ月ほど厳守しています。

現時点の Xiora の月次固定費は 3,000 円台 (ConoHa VPS + ドメイン更新分担のみ)。それでも:

  • 5 プロダクトが 24/7 稼働
  • 12 名の AI 社員が動く
  • LLM 呼び出しも走る (Ollama + Claude API のハイブリッド)

「¥0 で LLM 呼び出しまで完成する構成」を、実装レベルで公開します。同じ状況にいる solo founder の参考になれば幸いです。

免責: 本記事は情報提供を目的としており、事業の成功や収益を保証するものではありません。構成の採用可否は各自の状況に応じてご判断ください。

---

なぜ Zero-spend policy が必要だったか

私が Xiora を立ち上げた 2026 年 1 月、手元資金は限定的でした。同時に、以下の失敗パターンを過去 (Xiora 以前の個人プロジェクト) で経験していました。

  • 立ち上げ時に「これは必須」と思って月額 SaaS を 5-10 個契約
  • 3 ヶ月後、実際に使っているのは 2-3 個
  • 残りは「解約するのが面倒」で払い続ける
  • 6 ヶ月後、月次固定費が 3-5 万円に膨らむ
  • 売上は 0

この pattern を繰り返さないため、Zero-spend policy を最初に導入しました。ルールは 4 条:

1. 新 domain 購入禁止 (subdomain で足りる場合は subdomain のみ)

2. SaaS は Free tier で開始 (Pro tier への switch は「1 ヶ月の実利用ログ」を根拠に決裁)

3. LLM は Ollama L1_LOCAL 優先 (Claude API は「必要な用途」に限定)

4. 弁護士 spot / KYC 系 は Stage 2 flip 直前まで先送り

---

Domain 戦略 — subdomain で足りる

Xiora が公開しているサービスは以下です。

| サービス | URL | 用途 |

| -------- | --- | ---- |

| Xiora コーポ | https://xiora-official.com/ | ブランド |

| XCloud Connect | https://connect.xiora-official.com/ | 飲食 QR オーダー |

| XCloud Flow | https://flow.xiora-official.com/ | スクール予約 |

| XCloud Studio | https://studio.xiora-official.com/ | (準備中) |

| Aiverse Studio | https://aiverse.xiora-official.com/ | AI 配信 |

| Gourmie | https://gourmie.jp/ | (別 domain、既存契約) |

| PSOS | (未公開) | 補助金 SaaS |

これらのうち Xiora 系はすべて xiora-official.com の subdomain で運用しています。新規 domain 購入は 1 個もありません

subdomain 運用のメリット:

  • ドメイン更新費が 1 個で済む
  • SSL 証明書は Cloudflare or Let's Encrypt でワイルドカード発行できる
  • SEO のドメイン権威が集約される
  • 「新プロダクトを立ち上げる = subdomain を切る」で決裁不要になる

「独立ブランドとして立てたい」場合を除き、subdomain で足ります。Xiora ブランドの中でも、Aiverse や XCloud は独立プロダクト感を持たせつつ、subdomain で運用しています。

---

Infra 選定 — Free tier をフル活用

Xiora の infra は以下の構成です。

Web (Next.js)

  • Vercel Hobby (¥0) — 個人プロジェクト扱いの制約に触れない範囲で使用
  • または Cloudflare Pages (¥0) — 無制限リクエスト
  • または ConoHa VPS (¥1,000 台/月) — 全社共用の 1 台に集約

DB

  • Supabase Free tier — 500MB DB + 1GB storage、行 500K まで
  • Neon Free tier — 10GB storage、branch 10 個まで
  • 越えたら ConoHa VPS 上の PostgreSQL に移行 (Docker で 1 コマンド)

Storage

  • Cloudflare R2 Free (10GB / 月) — S3 互換、egress 無料が最強
  • 越えたら Backblaze B2 ($6/TB) を検討 (それでも安い)

Auth

  • Auth.js (self-hosted) — セッションを DB に持たせる (JWT の localStorage 保存禁止)
  • Cloudflare Turnstile Free — reCAPTCHA 代替

監視

  • Sentry Free (5,000 errors/month)
  • Uptime Robot Free (50 monitors)
  • Cloudflare Analytics Free

CI/CD

  • GitHub Actions Free (private repo で月 2,000 分)
  • ローカルで build → ConoHa VPS に scp deploy でも十分

これで 月次固定費 ¥3,000-¥4,000 に収まります。

---

LLM 戦略 — Ollama L1_LOCAL + Claude API L2_CLOUD の 2 tier

Zero-spend policy で最も難しかったのが LLM 呼び出しです。Xiora は 12 名の AI 社員を持ち、日々数千 token の LLM 呼び出しが発生します。全部 Claude API に流すと、月 5-10 万円は簡単に到達します。

対策として、Xiora AI Org (services/platform/XioraAIOrg/) では L1_LOCAL / L2_CLOUD の 2 tier 構成を採用しています。

L1_LOCAL: Ollama (¥0)

  • Model: llama3.2 (3B), qwen2.5 (7B), gemma2 (9B) 等
  • Host: ConoHa VPS 上に Ollama を Docker で起動
  • 用途:

- 憲法違反 grey zone の 2 段目チェック

- 短文の要約・翻訳

- 定型的な返信 draft

- コードの単純な reformat / rename

  • 強み: cost ¥0、privacy 高 (外に出ない)、latency 中 (VPS の spec による)

L2_CLOUD: Claude API

  • Model: Sonnet 4.6 / Opus 4.7
  • 用途:

- 長文の技術文書 draft (本 blog も)

- 複雑なコード生成

- 憲法違反の high-stakes 判定

- 顧客への proposal 文面 (品質が売上に直結)

  • 強み: 品質高、latency 低、context 長
  • 弱み: cost 有 (但しゼロデータリテンション設定は可能)

Routing rule

Agent が LLM を呼ぶ時、以下の routing を Orchestrator が実行します。

1. Task に preferred_tier metadata がある → その tier を試行

2. なければ L1_LOCAL を最初に試行

3. L1 の output を軽量 validator (regex + rule) でチェック、pass なら採用

4. L1 で不足 (validator fail or output 長すぎ / 短すぎ) なら L2_CLOUD に fallback

5. L2 も fail なら Reo escalation queue に上げる

この 5 step で、8-9 割の LLM 呼び出しが L1_LOCAL で完結 します。Claude API の月次 cost は数百円〜数千円台に抑えられています。

---

開発ツール — 個人プランを最大活用

  • エディタ: VS Code (¥0) + Claude Code (契約プラン内)
  • git: GitHub Free (private repo 無制限)
  • 設計図: Excalidraw (¥0) / Mermaid (¥0)
  • 図表・スライド: Google Slides / Canva Free
  • タスク管理: GitHub Issues + Xiora AI Org の Portal /approvals
  • 通信: Gmail (reo44283@gmail.com / xiora00000@gmail.com / info@xiora-official.com の alias)

Slack や Notion 有料版は、必要になるまで契約しません。GitHub Issues と Google Docs で 6 ヶ月やってきました。

---

「¥0 で作れないもの」の判断

一方で、Zero-spend policy でも「これだけは金を出さないとダメ」というものがあります。私は以下の 4 領域を Stage 2 flip 直前まで先送りし、必要時のみ支出します。

1. 弁護士 spot review (¥30-50k / 回)

Aiverse Studio の billing live flip 前に、規約 / プラポリ / 特商法の spot review。これは AI で代替できません。「代替できないもの」を見極めるのが Zero-spend の肝です。

2. Stripe KYC (¥0 だが手続き必須)

Stripe live activation は Reo 個人 or 法人の KYC が必要。書類提出だけで済むが、手続き時間はかかる。

3. PRtimes 有料枠 (¥30k / 回)

自然拡散だけでは届かない層へリーチする時のみ使用。本プレスリリース draft は、この判断のために準備してあります。

4. 会計 / 税務 (年数万円)

個人事業主 or 法人化後の税務は freee / マネーフォワード Free tier で開始、規模が大きくなれば税理士 spot に切り替え。

これら 4 領域は「¥0 で無理をすると事業が壊れる」ので、必要時に支出する。Zero-spend policy は「無駄な支出をゼロ」であって「必要な支出をゼロ」ではありません。

---

ゼロ予算 SaaS 構成の 7 step (実装手順)

もし今日から同じ構成で作るなら、以下の順で構築します。

1. domain 1 個購入 → subdomain 戦略で運用

2. Cloudflare で DNS / SSL / CDN を管理 (すべて Free tier)

3. Vercel or ConoHa VPS に Next.js デプロイ (Vercel は Hobby、VPS は月 ¥1,000)

4. Supabase Free tier で DB + Auth の PoC、規模が見えたら VPS 上 PostgreSQL に移行

5. Ollama を VPS に Docker で起動、Xiora AI Org の Orchestrator を実装

6. Stripe test mode で決済フローを構築、live 前に弁護士 spot review

7. PRtimes / 有料広告は「売上が立ってから」

この 7 step で、月次固定費 ¥3,000-4,000 の SaaS 会社が回ります。

---

「¥0 の呪縛」に落ちない注意

Zero-spend policy を厳格化しすぎると、逆に事業が止まります。以下は私が気をつけているアンチパターンです。

  • 時間コストの過小評価: 「¥3,000/月の SaaS を契約すれば 10 時間節約できる」なら、契約すべき。時給換算で判断。
  • セキュリティ・法務コストの後回し: 弁護士 spot、Stripe KYC、SSL 証明書は「必要投資」であり「節約対象」ではない。
  • Free tier の制約に事業を合わせる: Free tier に収めるために本来の機能を削るのは本末転倒。
  • 売上が立った後の見直し: 売上が立ったら「¥0 で回す」を解除し、time-to-value に投資する。

Zero-spend policy は「収益化まで」の phase 限定ルールで、収益化後は投資 phase に切り替える設計です。

---

Xiora の受託開発について

Xiora は、他社の「zero-spend SaaS 立ち上げ」の支援も承っております。

  • infra 選定 & subdomain 戦略のコンサル
  • Ollama + Claude API ハイブリッド構成の実装支援
  • Auth.js + Supabase / Neon での認証設計

お問い合わせは info@xiora-official.com までご連絡ください。

---

参考リンク

  • Xiora コーポレートサイト: https://xiora-official.com/
  • 受託開発 (AI 導入コンサル): https://xiora-official.com/ai-consulting.html
  • XCloud Connect (¥0 立ち上げ実例): https://connect.xiora-official.com/
  • Aiverse Studio (M1a): https://aiverse.xiora-official.com/pricing

---

筆者: Xiora 代表 沓澤 怜士 (kutsuzawa reo)

連絡: info@xiora-official.com

免責: 本記事は情報提供を目的としており、事業の成功や収益を保証するものではありません。構成の採用可否は各自の状況に応じてご判断ください。



関連 Xiora プロダクト

本記事のトピックに直接関わる Xiora 自社プロダクトです。 いずれも公開情報、¥0 で概要確認できます。

← Insights 一覧へ